2013年のブナの全国結実状況
林分の平均胸高直径階級、および林分標高階級と結実率階級の関係
○2013年に結実が観察された調査林分は北海道4カ所、東北8カ所、関東10カ所、北陸29カ所、中部10カ所、関西3カ所、中国5カ所、四国6カ所、九州5カ所の計80林分であった。全調査林分の90%で結実が認められた。残りの10 %の林分でほとんど結実しなかった。
○2013年の調査林分数に対する結実林分の割合は1993年(91%)に次いで高い値であった。1995年(87%)と結実状況はよく似ているが、結実率8-10の豊作林分の割合(44%)は、1993年(70%)や2005年(54%)、1995年(51%)より小さく、2011年(46%)や2009年(33%)に近い値であった。
○有効な果実の散布が行われていると考えられる結実率3以上(佐藤,2002)の林分は14カ所で、全調査林分の16%であった。これらの林分は関東と中部、関西の一部に限られていた。
○林分の平均胸高直径階級と結実率の関係を上に示した。胸高直径が20-39cm階級の調査林分数は20(全体の22%)で、その内の85%で結実が観察された。40-49cm階級の調査林分数は23(26%)で、その内の87%で結実が観察された。50-99cm階級の調査林分数は46(52%)で、その内の96%で結実が観察された。3つの直径階級間に結実率の違いがあるかどうかをχ二乗検定を行った。その結果、結実率=0と結実率≧1の分布において、直径階級による違いは認められなかった(χ2cal=2.56,P>0.05)。
○林分が立地する標高階級と結実率の関係を上に示した。0-499m階級の林分は17カ所あり、その内13カ所で結実率≧1であった。500-999m階級の林分は35カ所あり、その内33カ所で結実率≧1であった。1000-1499m階級の林分は29カ所あり、その内27カ所で結実率≧1であった。1500m以上の階級は8カ所あり、すべての林分で結実率≧1であった。標高階級による結実率の割合に有意な違いは認められなかった(χ2cal=5.80,P>0.05)。