2014年のブナの全国結実状況
林分の平均胸高直径階級、および林分標高階級と結実率階級の関係
○2014年に結実が観察された調査林分は北海道1カ所、関東4カ所、北陸11カ所、中部4カ所、中国1カ所の計21林分であった(表2)。全調査林分の25%で結実が認められた。残りの75 %の林分でほとんど結実しなかった。
○2014年の調査林分数に対する結実林分数の割合は、1994年(4.5%,佐藤;1995)や2004年(9%,佐藤;2005)、2010年(22.2%,佐藤;2011)に次ぐ、4番目に低い値であった。結実率8-10の豊作林分の割合(1.2%)は、1996年(0%,佐藤;1997)や1997年(0%,佐藤;1998)に次ぐ低い値であった。結実状況(結実率階級分布など)は2010年(佐藤,2011)と2012年(佐藤,2013)によく似ていた。
○結実率3以上(佐藤,2002)の林分は7カ所で、全調査林分の8.4%であった。これらの林分は北海道と関東、北陸、中部に分布していた。
○林分の平均胸高直径階級と結実率の関係を上図に示した。胸高直径が20-39cm階級は15林分(全体の13%)で、すべての林分で結実が観察されなかった。40-49cm階級は28林分(51%)で、その内の29%で結実が観察された。50-99cm階級は41林分(36%)で、その内の27%で結実が観察された。3つの胸高直径階級間に結実率(結実率=0と結実率≧1の分布)の違いがあるかどうかをχ二乗検定を行った。その結果、3つの直径階級による違いは認められなかった(χ2cal=5.37,P>0.05)。しかし、胸高直径が20-39cm階級とそれ以上の階級とに区分した場合、2つの階級の間に有意差が認められた(χ2cal=3.88,P<0.05)。このことから、胸高直径が30cm以下のブナの結実率が悪い林分が多い年であったと判断された。
○林分が立地する標高階級と結実率の関係を上図に示した。0-499m階級は17林分で、その内4林分で結実が認められた。500-999m階級は35林分で、その内9林分で結実が認められた。1000-1499m階級は26林分で、その内5林分で結実が認められた。1500m以上の階級は6林分で、その内1林分で結実が認められた。標高階級による結実率の割合に有意な違いは認められなかった(χ2cal=0.492,P>0.05)。