2018年のブナの全国結実状況
林分の平均胸高直径階級、および林分標高階級と結実率階級の関係
〇アンケートの回答は40名の方から得られ、調査林分は79カ所であった。回答のあったブナ林分は北海道が3カ所、東北地方が10カ所、関東地方が8カ所、北陸が32カ所、中部が6カ所、関西地方が4カ所、中国地方が4カ所、四国地方が5カ所、九州地方が7カ所であった。
〇2018年に結実が観察された調査林分は、北海道2カ所、東北6カ所、関東4カ所、北陸31カ所、中部4カ所、関西2カ所、中国2カ所、四国2カ所、九州7カ所の計60林分であった。全調査林分の76%で結実が認められた。残りの24%の林分でほとんど結実しなかった。
〇調査を開始した1993年以降では、2018年の調査林分数に対する結実林分数の割合(76%)は、2000年(79%;佐藤2001)や2009年(72%;佐藤,2010)とよく似ていた。
〇有効な果実の散布が行われていると考えられる結実率3以上(佐藤,2002)の林分は58カ所で、全調査林分の73%であった。これらの林分は全国に分布していた。
〇林分の平均胸高直径階級と結実率の関係を図3に示した。胸高直径が20-39cm階級は15林分(全体の19%)で、93%の林分で結実が観察された。40-49cm階級は25林分(32%)で、その内の64%で結実が観察された。50-99cm階級は39林分(49%)で、その内の77%で結実が観察された。3つの胸高直径階級間に結実率(結実率=0と結実率≧1の分布)の違いについてχ二乗検定で解析を行った。その結果、3つの平均胸高直径階級間に豊凶の違いは認められなかった(χ2cal=4.46,P>0.05)。
〇林分が立地する標高階級と結実率の関係を図4に示した。0-499m階級は17林分で、その内14林分で結実が認められた。500-999m階級は33林分で、その内25林分で結実が認められた。1000-1499m階級は24林分で、その内17林分で結実が認められた。1500m以上の階級は5林分で、その内4林分で結実が認められた。林分の立地標高階級による結実率の割合に有意な違い認められなかった(χ2cal=0.77,P>0.05)。