林分の平均胸高直径階級、および林分標高階級と結実率階級の関係〇2019年に結実が観察された調査林分は、北海道2カ所、東北3カ所、関東10カ所、北陸3カ所、中部4カ所、関西3カ所、中国2カ所、四国7カ所、九州2カ所の計36林分であった。全調査林分の47％で結実が認められた。残りの53％の林分でほとんど結実しなかった。2020年は太平洋側で結実、日本海側で凶作の傾向と推定される。
〇調査を開始した1993年以降では、2020年の調査林分数に対する結実林分数の割合（47％）は、2007年（44％）や2008年（44％）とよく似た値であった。
〇有効な果実の散布が行われていると考えられる結実率３以上（佐藤，2002）の林分は28カ所で、全調査林分の36％であった。これらの林分は北海道、東北、関東、北陸、中部、関西、中国、四国、九州に分布していた。
〇林分の胸高直径階級と結実率の関係を図3に示した。胸高直径が20-39cm階級は12林分（全体の16％）の内4林分（33％）で、40-49cm階級は24林分（31％）の内8林分（33％）で、50-99cm階級は41林分（53％）の内24林分（59％）で、それぞれ結実率が1以上であった。3つの胸高直径階級間の結実率の分布（結実率＜1と結実率≧1）に有意差は認められなかった（χ2cal=4.9，P>0.05）。
〇林分が立地する標高階級と結実率の関係を図4に示した。0-499m階級は15林分の内4林分（27％）で、500-999m階級は26林分の内7林分（27％）で、1000-1499m階級は30林分の内21林分（70％）で、それぞれ結実率1以上であったが、1500ｍ以上の階級は7林分すべてで結実が認められなかった。林分の立地標高階級による結実率の分布に有意な違いが認められた（χ2cal=14.0，P<0.05）。