林分の平均胸高直径階級、および林分標高階級と結実率階級の関係〇2021年に結実（結実率≧1）が観察された調査林分は、北海道2カ所、関東2カ所、北陸36カ所、中部5カ所、関西3カ所、中国3カ所、四国2カ所、九州1カ所の計54林分であった。全調査林分の66％で結実が認められ、残りの34％の林分でほとんど結実しなかった。2021年は日本海側で結実、太平洋側で凶作の傾向と推定される。
〇調査を開始した1993年以降では、2021年の調査林分数に対する結実林分数の割合（66％）は、2017年（67％；佐藤, 2018）や2002年（63％；佐藤, 2003）とほぼ同じであった。
〇有効な果実の散布が行われていると考えられる結実率３以上（佐藤，2002）の林分は28カ所で、全調査林分の36％であった。これらの林分は北海道、東北、関東、北陸、中部、関西、中国、四国、九州に分布していた。
〇林分の胸高直径階級と結実率の関係を図3に示した。胸高直径が20-39cm階級は13林分（全体の16％）の内9林分（69％）で、40-49cm階級は31林分（38％）の内20林分（64％）で、50-99cm階級は38林分（46％）の内25林分（66％）で、それぞれ結実率が1以上であった。3つの胸高直径階級間の結実率の分布（結実率＜1と結実率≧1）に有意差は認められなかった（χ2cal=0.1，p>0.05）。
〇林分が立地する標高階級と結実率の関係を図4に示した。0-499m階級は16林分の内13林分（81％）で、500-999m階級は29林分の内21林分（72％）で、1000-1499m階級は31林分の内16林分（52％）で、1500ｍ以上の階級は6林分の内4林分（67％）でそれぞれ結実率1以上であった。林分の立地標高階級による結実率の分布に有意な違いが認められた（χ2cal=5.0，p<0.05）。